東条英機。
昭和23年12月23日午前零時一分。
この日何の日か知ってる?
何の日?
わからない?
クリスマスイブイブじゃないよ。
天皇誕生日。
どうせ冬休みだから嬉しくも何ともない。
その天皇の息子の誕生日に殺してやると。
嫌がらせの極地だね。
アメリカはいいところもあるよ、でも一旦腹を立てるとどうしようもないんだね、
あの国は。
その真夜中の死刑。
その七分前、東条英機が歌を詠んだ。
●さらばなり有為の奥山今日越えて
弥陀のみもとに行くぞ嬉しき
●明日よりは誰にはばかるところなく
弥陀のみもとでのびのびと寝ん
●日も月も蛍の光さながらに
ゆく手に弥陀の光輝く
仏教によって救われた東条英機は
これから死刑になる直前にも明るい辞世の句をのこしている。