「咳をしても一人」
この俳句は日本ではかなり有名。
「どうしたの?」
と心配をしてくれる誰かがいるのではなく、
誰もいないさみしさです。
これは単に「今誰もいない」ということだけではなく
「昔はそうじゃなかった」という意味があると思います。
昔は夫が妻が、子供が
「風邪かー」
早めに飲もうパブロン、ルルが効くって、
と言っていたような「過去」が、
「あの頃」というのがあって、
ところが今そういうのがなくって、
咳をしても独りというように感じます。
昔とてもうまくいっていた
「あの頃」があります。
それが取り返せなくなった時のさみしさです。
昔あの人と会って、楽しかったというのがあると
それが途切れると、とたんに寂しくなります。
あまり高いところにいっちゃうと、一気に落ちちゃいます。
おばあちゃんの心電図のような人もあれば、
ジェットコースターのような人もあります。
しかし結局は一人。孤独です。
そういう人生は、底知れぬ寂しさが出てくるのは当然です。