仏教研究室

お釈迦さまってすごいですよね。一緒に仏教を学びませんか?

ブッダの過去世の求法太子

ブッダは、かつて求法太子といわれていたことがあります。

ある日、求法太子が一人の修行者に真実の法を求められた時、
「真実の妙法を聞くことは、決して容易なことではない。
 あなたは一体、どれ程の代償をもって、これを聞こうとせられるのか」
と、聞かれました。

求法というのは法を求めていると言う事です。
法とは、真実です。

その真実が生きる目的です。
その生きる目的をかつて求められたのが過去世のブッダです。
全人類が最も知りたいのがこの真実、生きる目的です。

 

その時太子は、
「真実の法を得ることは至難なことは、よく承知しております。
 もし、真実の法を聞かせて頂くことができれば、
妻子も財産も、地位も名誉も、あなたの望まれるものは
何なりと捧げましょう。どうかおきかせ下さい」
と両手をつかれました。

「私は、ごらんの通りの修行者、
あなたの妻子や財産を貰っても仕方がない。
もちろん、名誉や地位も必要ない。
ただ聞きたいのは、私の指示に順うか、
どうかのあなたの決意一つだ」

「もちろん、どんな仰せにもしたがいます」
と、求法太子はキッパリと答えました。

そこで修行者は、深さ一丈の穴を掘らせ、
その中に薪を積ませ、それに火をつけさせました。

地獄のような紅蓮の炎は、火坑一面に燃え狂います。

やがて修行者は、
「その火坑に飛び込め」
と太子に命じました。

それまで太子と修行者の対話を、
不安そうに見守っていた太子の両親や妻子や群臣は驚きました。

一同、太子にとりすがり、
「太子よ、お前は乱心したのか、
なぜ、そのような無茶をするのか。
なぜ親をそんなに苦しめるのか、やめてくれ」
両親は必死でした。
「あなた、あなたは私や子供を、
かわいいと思われないのですか。
あなたなしでは私は生きてはゆけません。
どうか、思い止まって」
妻子は泣き叫びます。
「太子さま、どうか国民のことも考えて下さい。
国民は太子さまに、大きな期待を持っております。
どうかそのような無謀はやめて下さい」
群臣達も哀願しました。

しかし、太子の求道心は増々燃え上がります。
やがて太子は、両親や妻子、諸大臣に向かって、厳然として叫ばれました。
「皆さん、よく聞いてくれ、私は今日まで過去無量劫の間、
幾千万の輪廻転生をくり返してきた。
しかも、そのいずれの時も、
欲望の為に死に、怒りの為に死に、愚痴の為に
命を捨ててきた。

いまだ、法の為に命を捧げたことは一度もなかった。
その為に、長い間苦しみを受け続け、一日として安らかな時はなかったのだ。
 然るに今、私は真実の法の為に、
命を捨てる絶好の機会を得た。

それなのに、また、そのチャンスを捨てよと言われるのか。
今度こそ、真実の法の為に死なせてはくれないか」
と、諭すように、哀願するように訴えられました。

かくて間もなく太子は、無上覚を悟られたのです。

本当の生きる意味を教えられているので、
仏教はこのような気持ちで聞かなければならないと
教えられているのです。