仏教研究室

お釈迦さまってすごいですよね。一緒に仏教を学びませんか?

宗教学者・山折哲雄が死について語るなら

宗教学者の山折哲雄が『わたしが死について語るなら』という本をポプラ社から出しています。宗教学者が死について語ると、どうなるのでしょうか?

山折哲雄は、死を教育機関で教えることが非常に大切だと考えています。

「私は「死」について、「無常」について教えることを教育の根本に組み入れてほしいと、政府の委員会などで何度も提案してきました」
と言っています。
政府に提案するほど、重視しています。

ところが山折哲雄は、かなり有名な学者であるにもかかわらず、それでもいつも失敗しました。このように言っています。

しかし必ず、反対意見が出るのです。
心理学とか社会学、精神医学とかさまざまな分野の専門家がおいでになるのですが、その多くは、「死の教育」についてはきわめて消極的でした。「生きる力」とともに「死」を引き受ける態度から文化を教えることにあまり賛成してはもらえませんでした。

その理由を山折哲雄は、こう分析しています。

戦後六十年をこえる「生きる力」一辺倒の教育、社会体制がそのような考え方をひろめてしまったのだと思うしかありません。
「人はやがて死ぬ」と「人はかならず死ぬ」の間には深い人生上の問題が横たわっているはずですが、そのことにかかわろうとしなかったのです。

人はやがて死ぬのだと知った上で、人生を考えることがとても大事だと思います。
山折哲雄は、そういう教育が大切だと言っています。
宗教学者なので、宗教に詳しいです。

そういう困難な問題を長い時間をかけて考えつづけ、突き詰めて考えてきたのが、哲学であり、宗教の歴史だったと思うのです。

これを学ばないといけないと言っているのです。

特にこの「無常」とか、死の問題の解決を教えられているのが仏教です。

この観点からいえば、仏教こそまず学ばなければならない宗教でしょう。