布施とは、お金や物を施すことですが、何かを手伝うことも布施ですので、一言でいうと、親切のことです。
布施は尊い善ですので、布施をした人には、善因善果で幸せが作られます。
因果応報なのです。
ところが、私たちには深い欲望があるので、なかなか布施はできません。
お金や物は自分が欲しいので、とても他人に与える心はないのです。
そんな中、他人に親切にするというのは、大変な幸せが生み出されるのです。
ではいつ布施をすればいいのかというと、欲深い私たちは、後回しにしようとします。
しかしブッダは、あとではなく、思い立った時にすべきことをたとえで教えられています。
ある男が、たくさんの人を牛乳の料理でもてなそうと思いました。
しかし、たくさんの人をもてなすには、一日分の牛乳では足りません。
そこで、どうしたものか思案した結果、牛の中に、牛乳をためておいて、当日の朝、一気にしぼればきっと溜めた分の牛乳が出るだろうと思います。
そして、一ヶ月ほどためて、当日を迎え、牛乳をしぼりますが、牛はすっかり牛乳が出なくなってしまって、一人分の牛乳もしぼることができませんでした。
このように、私たちは、お金を貯金してから、布施したら、たくさんの布施ができると思いますが、実際にはそうではありません。
お金がたまればたまるほど欲が出てきて、布施は難しくなっていくのです。
それに、泥棒に入られてお金を失ったり、何か別の欲望のために使ってしまったりして、結局布施ができなくなります。
だんだん惜しくなってくるのです。
しかし死ぬときには一円も持って行けませんが、布施の功徳は、業力となって死んでも続くので、布施しておけばよかったと後悔します。
だからブッダは、ためてからではなく、思い立ったときに布施をしなさいと教えられているのです。