料理人が材料集めに心奪われて、
肝心な腕を磨くことをしなかったら美味しい料理は作れない。
家康があるとき、この世で一番おいしいものは何かと尋ねたことがあった。
家来たちは、色々なおいしいものを挙げたが満足しない。
家康は局のお梶にそなたはどう思うかと聞くと
「それは塩でございます」と答えた。
なるほどと思った家康は、では一番まずいものは何かと尋ねた。
「それも塩でございます」と答えると家康は
「なるほど、さすがお梶だ」と満足したという。
料理が美味しいかどうかで大事なのは、
材料ではなく、料理の腕前ということ。
それと同じように、画家が画材集めに夢中で、
美的センスや芸術性を高めなければ
感動的な絵は描けない。
世界一の絵の具やキャンパスで、人々を感動させるような上手な絵が書けるわけではない。
あの黒い墨と紙だけで人々を感動させる水墨画を書ける人もある。
ほとんどの人は材料集めに一生懸命で、腕を磨くことをしない。
優先すべき事は材料集めではなくて、腕を磨くことだ。
腕を磨いた後に材料を集めたらよい。
人生でいえば、お金や財産、地位、名誉をどんなにかき集めても、その人の心がけが悪ければ、幸せな人生にはならないということ。
お金や財産、地位名誉などを活かすことのできる自分の心が大事。
それは自分の生きる意味を知るということ。