徳川家康のエピソードで、
この世で一番美味しいものは何かと聞いたという話があります。
そのとき答えた武将達は全員落第したのですが、
局のお梶が「塩でこございます」
と答えました。
なるほどと思った家康は、
「ではこの世で一番まずいものは何か」
と聞きます。
「そも塩でございます」
と答えると、家康はさすが小梶と
感心したといわれます。
塩そのものがおいしいものでもまずいものでもありません。
さじ加減一つで塩は料理を美味しくもすればまずくもする、
問題は塩を入れる料理人の腕前ということです。
どんなに素晴らしい食材を用意しても、
料理人の腕前が悪ければ活かされません。
今日はモノはあふれ、情報があふれています。
私たちを楽しませ、喜ばせるための材料には事欠きません。
ところがなぜにこんなに、満たされないのか、
虚しいのか、生きる意味がわからないのでしょうか。
それは、それらの材料を活かす腕前をもたないからです。
最高級の食材をつかっても料理人の腕前がなければ
おいしい料理はできません。
最高級の楽器を使っても演奏の腕前がなければ
すばらしい音楽はできません。
どれだけ、金やモノや情報に恵まれても、
それを活かす智慧をもたなければ素晴らしい人生にはなりません。
そういう智恵こそ本当に学ばなければならないものです。